弘法大師御年三十四歳
先ず越州の地方長官(節度使)に「越州ノ節度使ニ与ヘテ内外ノ経書ヲ求ムルノ書」を呈し、仏教の経・律・論・疏・伝記、唐の詩・賦・碑・卜占・医学の典籍、さらに五明(声明(音韻・音学・語法)・工巧明(工芸・技術)・医方明(医術・薬学)・因明(論理学)・内明(仏教の宗学))のうち、済世利民に役立つ書籍を日本に伝えたいので、その入手に便宜をはかってくれるよう要請をした。空海は自らもこれらの典籍の収集にかなりの時間を費やしたにちがいない。
空海が、804年に遣唐使として、唐の国に入ってから二年の後、大同元(806)年8月に日本に帰国し、同年10月22日に唐より持ち帰ったこれらのものを目録に記し、朝廷に献上した。空海が請来した仏教の『経・律・論・疏・伝記、唐の詩・賦・碑・卜占・医学』の典籍、さらに五明(声明(音韻・音学・語法)・工巧明(工芸・技術)・医方明(医術・薬学)・因明(論理学)・内明(仏教の宗学))訳経、梵字真言、論疏章、曼荼羅、道具などの数々の分野における目録である。
また、本目録冒頭の上表文には入唐中に学んだ様子等も記されている。
なお、目録の概要は(1)新訳旧訳の経典を計142部247巻、(2)梵字真言讃など計42部44巻、(3)論疏章など計32部170巻、(4)仏菩薩金剛天等の像、曼荼羅、伝法阿闍梨等の影など計10舗、(5)恵果から付嘱された道具9種、(6)恵果からの阿闍梨伝法の印信13種となっており、それらが1点1点具体的に列挙されている。
空海が、招来した目録は唯の請来品ではなく、空海の所願である
衆生済度のための目録であり
覺王山歳弘法堂では、入唐時の空海請来目録を手に
する、弘法大師尊像を祭祀致しております。
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